ユネスコ無形文化遺産「日田祇園の曳山行事」

更新日:2021年03月31日

日田祇園山鉾集団顔見世

 ユネスコ無形文化遺産「日田祇園の曳山行事」が全国山・鉾・屋台保存連合会に加盟する33団体とともに平成28年11月30日にユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」として、「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(以下「代表一覧」と略)」に記載されることが決定しました。
 

日田祇園祭・集団顔見世

日田祇園祭及び集団顔見世の様子は下記リンクからご覧ください。

無形文化遺産とは

 2006年発効の無形文化遺産保護条例に基づき、ユネスコが登録した世界各国の伝統芸能、社会的慣習や祭礼、工芸技術など。遺跡や自然環境を保護対象した「世界遺産」、文書や絵画などの「世界の記憶」(世界記録遺産)を含めて「ユネスコ三大遺産」と呼ばれる。日本からは和食や歌舞伎など22件が登録済みだが、今回、2009年に単独で登録されていた「京都祇園祭」(京都)と「日立風流物」(茨城)を含めて「山・鉾・屋台」として登録し直されるため、日本の無形文化遺産は現在より1件減って21件となる。

日田祇園がユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」として記載決定

国重要無形民俗文化財:「日田祇園の曳山行事」について

1.国指定の経緯(平成8年12月20日指定)

市指定・県指定の経過     

 ・市指定  昭和47年6月12日(隈の祇園会)       

 ・県指定  昭和59年3月30日(日田祇園会)

2.祇園山鉾の概要

所在地:大分県日田市隈地区・竹田地区・豆田地区

保護団体:日田祇園山鉾振興会

公開期日:7月20日過ぎの土・日曜日

9基の「ヤマ」

 日田市の祇園祭りは、毎年作り替えられる「ヤマ」と呼ぶ山鉾が曳き廻されます。現在、祇園祭りに曳き出されるヤマは、隈地区の三隈町、大和町、竹田地区の川原町、若宮町、豆田地区の下町、上町、港町、中城町の出す8基と平成2年に製作された全高10メートルの平成山鉾1基の計9基です。

 祇園祭りを行う神社は、隈地区の隈八坂神社、豆田地区の豆田八坂神社、竹田地区の若宮神社であり、日田祇園はこの三社の祇園祭りの総称です。若宮神社は若八幡とも呼ばれ、祇園社を合祀しています。

「小屋入り」「流れ曳き」「集団顔見世」

 日田祇園の祭礼日は、近世においては、隈町・竹田村が6月10日から11日、豆田町では14日から15日でした。明治期以降は、三地区ともに旧暦6月13日から15日となり、昭和46年からは新暦7月20日過ぎの土・日曜日に開催されるようになりました。

 祇園の準備は「小屋入り」と呼ばれる山鉾の建造から始まります。

 祇園の2日前の木曜日に「流れ曳き」といって、町内ごとに山鉾が巡行しお披露目を行います。夕方からは日田駅前で、平成元年から始まった「集団顔見世」が行われ、隈・竹田・豆田地区の各山鉾が勢揃いします。

 隈・竹田地区では、祭りの初日、それぞれの山鉾が「町内押し」といって各町内を巡行した後、隈地区の山鉾は隈八坂神社、竹田地区の山鉾は若宮神社に納めます。その後、御神幸行列に従って山鉾が巡行します。隈地区と竹田地区の山鉾は、隈八坂神社と若宮神社双方の御神幸行列の巡行を行います。隈・竹田地区の祇園祭りは、山鉾がそれぞれ他の鎮守社を参詣するという氏子圏を越えた行事を行っているのが特徴です。

「晩山」

 夜には「晩山」を行い、山鉾の背部に垂らした「見送り」という懸け幕をはずし、提灯をさげます。この山鉾を提灯山鉾(やま)といいます。

 豆田地区では、初日の朝八坂神社に勢揃いして中城御旅所まで御神幸行列に連ねて巡行し、豆田地区内を山鉾ごと定められた順路で巡行します。初日の「晩山」は、花月川にかかる御幸橋に集合し、豆田地区内を巡行します。二日目の「晩山」は、中城御旅所に集合し一新橋に駆け上がり、気勢を上げてから御幸橋と一新橋を巡回します。

 日田祇園山鉾の文献での初出は寛文五年(1665)で正徳四年(1714)には、豆田・隈両地区で本格的な山鉾がつくられるようになったといわれています。江戸期から明治初期にかけて、山鉾はしだいに巨大化し、明治17年には高さ10メートルを越える山鉾が登場しました。明治34年に電柱の架線により一時山鉾巡行ができなくなりましたが、大正13年に山鉾の高さを低くし再開されました。昭和18年から戦争の影響で山鉾巡行は中断しましたが、戦後数年経って山鉾巡行は復活しました。豆田地区では、昭和36年から再び中断しましたが、昭和61年に中城町、昭和63年に港町、平成元年に下町、2年に上町の山鉾が復活しました。

祇園囃子

 祇園囃子は、江戸から移住してきた小山徳太郎が伝えたといわれています。現在の演目は幕末期から昭和初期にかけての俗曲・端唄・流行歌であり、他の祇園囃子とは楽器構成も曲目も異なった独特なものです。三味線と笛、それに太鼓で演奏するのが特徴で、笛は明笛(みんてき)の系統をひく横笛です。

山鉾

 山鉾は、多層人形山車の曳山です。人形は歌舞伎の名場面を題材とし地元の人形師が製作しています。一部の屋形等を除いて、人形と飾りは毎年新調します。山鉾の台車には囃子方が乗る囃子台があり、その上部に人形と屋形を設置する舞台が置かれています。山鉾の背後には見送りと呼ばれる懸幕を垂らし、台車の高欄の下には緋羅紗の水引を引きまわします。見送りには緋羅紗地に金糸などで鷲・虎・麒麟・鳳凰・唐獅子などの刺繍を施した華麗な懸装品で、幕末から明治期に製作されたものです。

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