日田市自治基本条例

更新日:2023年04月03日

日田市のまちづくりに関する基本理念を定め、市民、市議会及び市長等の役割や責務等を明らかにし、「自治(=自らのことを自らの手で行うこと)」の基本原則や情報共有、市政への参画などの市政運営の基本的な事項を定めて実行していくことで、市民主体のまちづくりの実現を図るため、日田市自治基本条例が制定されました。

(平成26年4月1日施行 平成30年3月27日改正 令和5年4月1日改正)

目次

条例の目的

この条例の目的は「市民を主体としたまちづくりの実現を図ること」です。

その目的を実現するために、市民や市議会、市長等の役割はどうあるべきなのかを明らかにして、「自治」の基本原則や、市政運営の基本的な事項を定めること、そして、市民や市議会、市長等がお互いに理解を深めて信頼関係を強くすることで、「市民一人ひとりが誇りを持って、安心してしあわせに暮らすことができる、市民主体のまちづくり」の実現を目指すことを規定するものです。

自治の基本原則

  1. 市民がまちづくりの主体であり、市議会及び市長等は市民の自主性を尊重し、その取組を支援すること。
  2. 年齢、性別等を問わず、市民参画の機会が保障されること。
  3. 市民、市議会及び市長等は、まちづくりに関する情報を共有するため、互いに情報提供に努めること。
  4. 市議会及び市長等は、市政について分かりやすく説明すること。

条例の主な内容

【第1章】
条例の目的や位置付け、自治の基本原則等について定めています。

【第2章】
市民の権利及び責務等について定めています。

【第3章】
市議会の責務等及び議員の責務について定めています。

【第4章】
市長及び職員の責務について定めています。

【第5章】
計画的な市政運営、財政運営、組織及び人事政策、行政評価、パブリックコメント等について定めています。

【第6章】
市民参画、協働、自然環境、歴史及び文化の保全等、地域課題、住民投票、危機管理について定めています。

【第7章】
市内外の人々等との交流及び連携、他の自治体及び国等との連携について定めています。

【第8章】
条例の見直しについて定めています。

条例の条文

前文
私たちのまち日田市は、阿蘇、くじゅう山系や英彦山系の美しい山々に囲まれ、これらの山で育まれた豊富な水に恵まれていることから「水郷ひた」と呼ばれ、山紫水明の豊かな自然に満ち溢れたまちです。
また、古くから北部九州の各地を結ぶ交通の要衝にあり、江戸時代には幕府直轄地である天領として繁栄してきました。当時、廣瀬淡窓が開いた「咸宜園」では、個性を尊重する教育が行われ、優秀な人材の輩出に貢献した文教のまちでもあります。
このように、先人が守り育ててきた素晴らしい自然、歴史、文化に満ちたこのまちに、私たちは、誇りと責任を持ち、これらをより発展させ、次世代に引き継いでいくとともに、互いの人権を尊重し、みんながしあわせを感じることができる住みよい地域社会の構築を進めていかなければなりません。
そのためには、市民、市議会及び市長等がそれぞれの責任や役割を認識するとともに、互いに協力しながら、よりよいまちづくりに取り組むことが大切です。
よって、ここにまちづくりの主体は市民であるという理念のもと、この条例を制定します。

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民の権利及び責務、市議会及び市長等の責務を明らかにし、本市における自治の基本原則及び市政運営に関する基本的事項を定めることにより、市民、市議会及び市長等が互いに理解を深め信頼し合う関係を築くことで、市民を主体としたまちづくりの実現を図ることを目的とする。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、本市における自治及び市政運営の基本的な事項に関する最高規範であり、市民、市議会及び市長等は、この条例の趣旨を尊重しなければならない。
2 市議会及び市長等は、他の条例、規則その他の規程の制定改廃及び運用に当たっては、この条例に定める事項との整合性を図らなければならない。市政運営上の必要な計画を策定する場合も同様とする。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 次のいずれかに該当するものをいう。
ア 市内に住所を有する者(以下「住民」という。)
イ 市内に通勤又は通学をする者
ウ 市内において営利又は非営利の事業活動を行う個人又は法人その他の団体
(2) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会その他の執行機関及び当該執行機関の事務等に従事する職員をいう。
(3) まちづくり 住みよい地域社会をつくるためのあらゆる取組をいう。
(4) 市民参画 市の政策立案等の過程において市民が主体的にかかわることをいう。
(5) 協働 まちづくりにかかわる多様な主体が地域の課題と目標を共有し、それぞれの責任と役割分担に基づき、互いに対等な立場で連携し、協力することをいう。
(6) 地域コミュニティ 自治会、子ども会、老人会その他の地域住民で自主的に構成され当該地域に関する組織等をいう。
(自治の基本原則)
第4条 この条例の目的を達成するため、本市の自治は、次の各号に掲げる基本原則に基づいて行うものとする。
(1) 市民がまちづくりの主体であり、市議会及び市長等は市民の自主性を尊重し、その取組を支援すること。
(2) 年齢、性別等を問わず、市民参画の機会が保障されること。
(3) 市民、市議会及び市長等は、まちづくりに関する情報を共有するため、互いに情報提供に努めること。
(4) 市議会及び市長等は、市政について分かりやすく説明すること。

第2章 市民の権利及び責務等
(市民の権利)
第5条 市民は、日本国憲法及び法令により定められた権利を有するとともに、次に掲げる権利を有する。
(1) まちづくりに参画し、意見を表明し、又は提案する権利
(2) 市政運営に関する情報を知る権利
(市民の責務)
第6条 市民は、まちづくりの主体であることを自覚し、次の世代のことも考え、まちづくりに努めるものとする。
2 市民は、まちづくりに参画するに当たっては、互いに尊重しながら、自らの発言及び行動に責任を持つものとする。
3 市民は、地域における課題等について、市民同士での話合いを通じ、課題の解決に向かうよう努めるものとする。
(地域コミュニティの役割等)
第7条 地域コミュニティは、様々な活動を通じて地域社会の発展に努めるものとする。
2 市民は、地域における相互扶助の精神に基づいて、地域コミュニティに加入し、その活動に参加するよう努めるものとする。
3 地域コミュニティは、その活動内容及び運営状況を明らかにすることにより、その活動について地域住民の理解及び共感を得られるよう努めるものとする。
4 地域コミュニティは、その活動を円滑に進めるため、地域住民の参加及び協力の機会を確保し、必要な環境づくりに努めるものとする。
5 市長等は、地域コミュニティを支援するとともに、その運営等について自主性を尊重しながら助言等を行うことができる。
(子どもの権利等)
第8条 子どもは、まちづくりに参加する権利を有するものとする。
2 子どもは、それぞれの年齢に応じて、まちづくりに参加するよう努めるものとする。
3 市民及び地域コミュニティは、子どもが未来を担う大事な存在であることを認識し、地域における世代間交流や見守り活動等により、子どもの健全育成及び安全の確保に努めるものとする。
4 市長等は、子どもがまちづくりに関して自らの意見を表明できる環境の整備に努めるとともに、表明された意見をまちづくりに活用する仕組みの構築に努めるものとする。
5 市長等は、咸宜園教育の理念を生かすとともに、教育環境の充実等を図り、子どもの健全育成に努めるものとする。

第3章 市議会の責務等
(市議会の責務等)
第9条 市議会は、住民の代表機関として、市民福祉の向上及び市政の発展に寄与するため、市政運営を監視するとともに、市政に対し、政策立案又は政策提言に努めるものとする。
2 市議会は、多様な方法で市民の意思を把握し、市政及び議会活動に反映させるとともに、議会活動に関する情報を市民に積極的かつ分かりやすく説明し、市民に開かれた議会を目指すものとする。
3 市議会の活動原則、市民及び市長等との関係等に関する基本的事項については、別に条例で定めるところによる。
(議員の責務)
第10条 議員は、住民の代表機関の一員であることを自覚し、公正かつ誠実に職務を遂行するものとする。
2 議員は、議会の構成員として、市民福祉の向上を目指して行動し、自己の議会活動について市民に対する説明責任を果たすものとする。
3 議員の活動原則等の基本的事項については、別に条例で定めるところによる。

第4章 市長及び職員の責務
(市長の責務)
第11条 市長は、市民の負託に応え、本市の代表者として市民との対話を重視し、公正かつ誠実に市政を行わなければならない。
2 市長は、市の将来像及び政策等について市民に分かりやすく説明しなければならない。
3 市長は、指導力を最大限に発揮し、市政運営を行わなければならない。
(職員の責務)
第12条 職員は、市民全体のために働く者としての認識を持ち、法令等を遵守し、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 職員は、市民からの意見(不当要求等を除く。)に誠実に対応し、課題等の解決に取り組まなければならない。
3 職員は、知識の習得及び能力の向上に努め、市民の視点に立ち、意欲を持って職務に取り組まなければならない。
4 職員は、前3項に定めるもののほか、この条例に規定する市民としての責務を遵守しなければならない。

第5章 市政運営
(計画的な市政運営)
第13条 市長等は、計画的な市政運営を行うため、市の最上位計画である総合計画及び各行政分野における基本的な計画を策定するものとする。
2 市長等は、前項に規定する基本的な計画を策定するときは、総合計画との整合性に配慮するとともに、関連する他の基本的な計画との調整を図るものとする。
3 市長等は、総合計画等の内容及び進捗状況に関する情報を市民に分かりやすく公表するものとする。
4 市長等は、市民参画の機会を設け、総合計画等の策定及び改定を行うものとする。
5 市長等は、総合計画等について、社会情勢の変化に対応できるよう、常に検討を加えるとともに、必要に応じて見直すものとする。
(政策法務)
第14条 市長等は、行政課題に対応した自主的な政策等を実行するため、地方自治の本旨に基づいて法令を解釈し、及び運用するとともに、主体的かつ積極的に条例等を立案するよう努めなければならない。
2 市民は、前項の規定による政策法務の取組について、必要な意見を述べることができる。
(財政運営)
第15条 市長等は、中長期的な財政の見通しを踏まえ、政策相互の連携を図りながら効果的かつ効率的な財政運営に努めなければならない。
2 市長等は、創意工夫による経費節減等に努めることで、行財政改革に取り組まなければならない。ただし、行政サービスの低下を招かないよう十分留意するものとする。
3 市長等は、市が保有する財産を適正に管理し、効率的な運用を図らなければならない。
4 市長等は、予算及び決算その他市の財政に関する情報を市民に分かりやすく公表するよう努めなければならない。
(組織及び人事政策)
第16条 市長等は、社会情勢及び行政需要等の変化に対応できるよう組織の見直しを行うとともに、重要な政策課題については、組織横断的に柔軟な対応を図るよう努めなければならない。
2 市長等は、職員の能力及び組織力が最大限に発揮できるよう、効果的かつ計画的な職員の採用及び人材育成並びに適切な職員の配置等、適正な人事政策の運用に努めなければならない。
3 市長等は、人事政策に当たっては、市民との信頼関係及び行政サービスの維持向上に配慮しなければならない。
(行政評価)
第17条 市長等は、市政に関する説明責任を果たし、効果的かつ効率的な行政運営を図るため、行政評価を実施しなければならない。この場合において、行政評価は、市民等の視点を取り入れるよう努めなければならない。
2 市長等は、行政評価の結果を市民に分かりやすく公表し、市民の意見を求めるとともに、その結果を適切に施策等に反映させるものとする。
3 職員は、効率的な行政サービスを提供するため、行政評価等を通じて事務事業等の改善に努めなければならない。
(附属機関等)
第18条 市長等は、附属機関等の委員を選任するときは、原則としてその全部又は一部を市民からの公募等により行うものとする。
2 市長等は、前項の公募等を行うときは、男女比率、年齢構成、地域構成等を考慮し、市民の多様な意見が反映されるよう努めなければならない。
3 市長等は、原則として附属機関等の会議を公開するとともに、会議録及び資料を公表するものとする。
(情報の公開及び管理等)
第19条 市長等は、公正で開かれた市政の推進を図るため、市が保有する情報を別に条例で定めるところにより公開するとともに、市民に積極的に情報提供するよう努めなければならない。
2 市長等は、市が保有する情報が市民との共有財産であるとの認識に立ち、適切に情報公開及び情報提供ができるよう組織的に管理しなければならない。
3 市長等は、個人の権利利益を保護するため、市が保有する個人情報を法令等の定めるところにより適正に取り扱わなければならない。
(パブリックコメント手続)
第20条 市長等は、市政に係る重要な政策等を定めるときは、別に定めるところにより事前にその案及び論点を明確にした資料等を公表し、市民の意見を求めるものとする。
2 市長等は、前項の規定により提出された意見を踏まえて政策等を定めるとともに、提出された意見の取扱いの結果及びその理由を公表するものとする。

第6章 市民参画及び協働
(市民参画)
第21条 市長等は、市政に関する計画又は政策の立案の段階から、公正かつ透明な市民参画の機会を積極的に創出し、市民の意見が市政運営に適切に反映されるよう努めなければならない。
2 市長等は、市民に対し、市民参画を有意義なものにするために必要な資料等を提供しなければならない。
3 市長等は、前2項に規定するもののほか、市民の意見、要望及び提案を受け付けるとともに、意見等に対する処理の結果を明らかにするなど、誠実に対応するものとする。
(協働)
第22条 市民、地域コミュニティ並びに市議会及び市長等は、協働してまちづくりの推進に取り組まなければならない。
2 市長等は、まちづくりの推進を目的として主体的に活動する市民及び地域コミュニティに対し支援を行う際には、適切かつ効果的なものになるよう努めるものとする。
(自然環境、歴史及び文化の保全等)
第23条 市民、市議会及び市長等は、本市の財産である先人が守り育ててきた素晴らしい自然環境、歴史及び文化を保全し、活用し、及び次の世代に引き継ぐよう努めなければならない。
(地域課題)
第24条 市長等は、各地域が抱える課題を把握し、その課題が市全体の共通の課題であることを市民が認識できるよう、情報提供に努めなければならない。
2 小規模集落等(戸数の減少及び高齢化が著しい集落及び当該集落に準じるものをいう。以下同じ。)の住民は、地域内で協力するとともに、周辺地域との連携により、地域課題の解決に取り組むよう努めるものとする。
3 市長等は、小規模集落等において市民が主体的に行う地域活動に配慮するとともに、その活動が困難な場合においては、必要に応じて、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 市長等は、住民自治組織(小規模集落等において地域課題の解決を目的として、地域住民が自ら組織した団体をいう。)が主体的に行う地域活動の円滑な推進を図るため、必要に応じて、適切な支援を行うものとする。
(住民投票)
第25条 市長は、市政に係る特に重要な事項について、次の各号のいずれかに該当するときは、住民投票を行うことができる。
(1) 住民が必要な手続を経て、住民投票の請求をしたとき。
(2) 議員が住民投票の実施を提案し、市議会がこれを認めたとき。
(3) 市長が自ら、住民投票が必要であると判断したとき。
2 市民、市議会及び市長は、住民投票の結果を尊重するものとする。
3 前2項に定めるもののほか、住民投票に関し必要な事項は、別に条例で定めるところによる。
(危機管理)
第26条 市長等は、市民及び旅行者等の安全及び安心を確保し、災害等の発生時に適切かつ迅速に対処するため、危機管理体制を整備しておかなければならない。
2 市長等は、災害等の発生時において、市民及び旅行者等の生命、身体及び財産の安全を確保するため、市民、地域コミュニティ、社会福祉協議会等の関係機関並びに他の自治体及び国と相互に連携し、及び協力しなければならない。
3 市民は、日頃から災害等の発生に備えるとともに、災害等の発生時には、自らの安全を確保するよう努めなければならない。
4 地域コミュニティは、日頃から地域における防災体制を整え、防災訓練等を行うとともに、災害等の発生時には、地域の中で互いに協力して対処するよう努めるものとする。

第7章 連携
(市内外の人々等との交流及び連携)
第27条 市民、市議会及び市長等は、市内外の人々等との交流及び連携がまちづくりに重要であることを認識し、得られた知識及び意見等をまちづくりに活用するよう努めるものとする。
2 市民、市議会及び市長等は、地域の素晴らしい自然、歴史、文化などの情報を、市内外の人々に積極的に発信するよう努めるものとする。
(他の自治体及び国等との連携)
第28条 市議会及び市長等は、広域的な課題を解決し、又はまちづくりの推進を図るため、他の自治体及び国並びにその他必要と認める団体等との積極的な連携に努めなければならない。

第8章 条例の見直し
(条例の見直し)
第29条 市長は、この条例が市民を主体としたまちづくりの実現に寄与しているかについて検証し、市民参画による検討を施行の日から4年を超えない期間ごとに行うものとする。
2 市長は、前項に規定する市民参画による検討の結果を受けて、この条例の見直しが適当であると認めるときは、必要な措置を講ずるものとする。
 

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