官民集合研修 ユニットワークとプレゼンテーション

更新日:2021年03月31日

ユニットワークと最終プレゼンテーション

ユニットワークとは?最終的に何を作り出すのか?

今回、「建物の役割・意味(コンテンツ)」を考える対象となったのは、日田駅周辺にある遊休不動産と公共空間

  • 市道駅前通りにある酒屋跡
    ユニットマスター 桑原宏治
  • 旧若竹旅館
    ユニットマスター 宮崎晃吉
  • 駅前広場とJR日田駅2階部分
    ユニットマスター 青木純

です。まさしく駅前周辺にどう賑わいを作るのか、という“お題”にふさわしい物件ばかり。
これら3ユニットは、折々に組み込まれたレクチャーの時間以外、ほとんどユニットワーク(議論)をしていました。まちあるきで物件やその周辺にある店舗を確認したり、オーナーに会って思いを聞き出したり、朝・昼・晩と物件周辺にどれくらいの人が歩いているのかを観察したり…。
その上で、まちの人や観光客が喜んでくれそうな物件の使い方と、それを実現するために何が必要か、いくら位のランニングコストが必要かを試算したり、その事業を実現する人を探したりと、最終日に行われるプレゼンテーションに向けて取り組みました。
3日間のうち、数回、ユニットマスターへのショートプレゼンが行われましたが、とても手厳しいコメントばかり。「いくつかのコンテンツを組み合わせるというが、その関係性が明確でない」「それで人件費は稼げるの?」「せっかく尖ったコンテンツだと思っているのなら、デフレ志向で低価格の競争をしてはだめ」…それでもユニットのメンバーはめげません。
ユニットワークは連日深夜まで及び、夜中に大きく方向転換したユニットも。最終日には概ねの事業計画まで作成します。

ユニットワークの様子
ユニット毎にショートプレゼンテーション
ユニットワークの様子

ユニットワークはこうして行われた!

まず行われたことは、各ユニット内のメンバーそれぞれの自己紹介。さすがにここでは皆さん固い! そして、少しの雑談の後、物件の下見に出かけました。そして戻ってきてから得た情報をホワイトボードに書き出します。

  • 築何年/何階建て/何室あるか
  • 周囲にはどのようなお店や施設があるか
  • これまでどのように使われてきたのか
  • オーナーさんの思い
  • その物件のそばに何が不足していると思うか
  • これらの情報を元に、「何にすれば人が集まるか/市民が喜ぶものを作れるかなど」を各自思い思いに伝え合います。どのユニットにおいても初回聞かれたのは
  • 駅前通り近辺は、豆田町と隈町をつなぐ「通り」
  • サンリブ撤退後、ドラックストアが来ることでどのような変化が起こるかわかりづらい

などです。確かにドラックストアができるという不確定要素はあるものの、市民が欲しいものは市民が“発掘する”ことが重要。ユニットマスターのアドバイスを得ながら、各ユニットとも、その物件への理解を深め続けます。
当初の各ユニットの抱いたイメージは、次の通りです。

  • 市道駅前通りの酒屋跡
    駅前なのに広い歩道がある。待ち合わせやちょっと呑み、ないしは締めに利用できる飲食店にできないか。
  • 旧若竹旅館
    もともと旅館だけに部屋数の多い物件。周囲の小売店と連携して飲食物などの提供をしながら、近所の若い世代や子育て世代が気軽に歓談に立ち寄れる場所にできないか。
  • 駅前広場とJR日田駅2階部分
    小京都日田にふさわしい玄関口にするため、着物の着付けやメイクができる施設にできないか。着物を着た人がまちに増えれば、SNSなどで情報発信してもらえるかも。

一晩で「目指すもの」が変わったユニットも!

先にも触れたとおり、ユニットワークとレクチャーが交互に行われました。そして夜は懇親会やユニットでの二次会も行われました。そこで打ち解け、ユニットマスターからもさらに深い話をきいたメンバーの中で、それぞれ思いの変化が起きたようです。
中には、一晩で目指すものが一気に変わってしまったユニットも現れました。
改めてまちの成り立ちやその物件の“生い立ち”、その近辺にどのような人たちが住んでいるのか、昼と夜の変化など、今まで目にはしていても意識しなかったことを再認識し驚いているメンバーも少なくありませんでした。
ユニットワークの光景を見ていて気づいたのは、「市民と市役所職員がフラットに語り合えるのだ」という事実。時に“敵対関係”ともなり得ることもあるこの官と民とが、これからのまちについて同じ机を囲んで意見を出し合う。障壁となり得る行政手続きの問題については官側から説明をしてもらえる。このような関係が今後も市民の目に付く場所で続くように祈るばかりです。

では、いよいよ不動産オーナーと会場に集まった方々に向けて最終プレゼンテーションです! 駅周辺の3つの場所がどのように事業化されるのか…。実施はまだ先でも、今から楽しみでなりません。

3つのユニットからの事業提案プレゼンテーション

市道駅前通りの酒屋跡

プレゼンテーションの様子

テーマ「0次会で気軽に立ち寄り、2番人気のメニューを屋台で食べて、1番人気のメニューを食べに店に行く“HITA FOOD ENTRANCE021”」歩道に屋台20基、座席数は60~80席、営業時間は16時~19時。

屋台で「2番人気のメニューを出してくれるお店」を募ることで、出店者にはお客さんの獲得を、来店者には新しいお店の発見を促します。しかしながら、物件そのものはオフィスに。お店の確保や行政・地元自治会・商店街との調整を担い、備品リースや屋台の倉庫としても使用。
ユニットメンバーの市職員が、道路占用や消防など法に関することへの対応を行います。民間側から「やります!」と即答してくれたのは、市内でカフェを経営するオーナーです。実はユニットメンバー内で自ら事業を興す「プレイヤー」を発掘できなかったものの、最終プレゼンテーション前夜、ユニットメンバーのひとりからの声かけで見つかった方です。
屋台の月額賃料は、ガスなどのランニングコストを除き1か月3万円。準備にかかるイニシャルコストは547万円(屋台・発電機・チラシ・鉄板など)。これらを36か月で回収するとなると、屋台20台×8,000円は必要と計算しました。もちろん事務所を運営する費用も必要です。これらを屋台への出店者にも負担してもらうと、3万円となります。当初は事業に必要な区画数を設け、その後増やして行きたいという目論見です。
駅前に小さな屋台村ができると楽しいだろうなぁ…。

旧若竹旅館

プレゼンテーションの様子

テーマ「日田の部室 WAKATAKE “部室で行われる活動は、趣味以上・仕事未満“」かつて、日田に訪れるビジネスマンを家族のように受け入れてきた若竹旅館。結婚式などのイベントごとが行われることもありました。まさしく“人の縁をつなぐ場所”。

再開発が進む中、迷路のような面白い建物が残っているのも奇跡的、周囲にはマンションも多く、これらの人たちに開かれた場にしたいと考えました。
ユニットメンバーの一人にボードゲームが趣味な方がいました。その方の発言では、道具をしまっておく場所も、本気で遊べる場所もなかなかないと。そこで、「大人の部活」をテーマにしたのです。2階は12もの個室があります。そこを大人の部活部屋にし、1階の広間を部員や地域住民が交流するためのカフェにしようという考えです。
このユニットでは、ユニットメンバー(民間の方4名)で代表取締役と取締役まで決めてしまいました。会社名は「HITALIVE」。市職員(4名)は部室の部長としてこの事業に参画し、そのうち1名は一部屋借りる契約になってました。
不動産オーナーからHITALIVEが1棟丸ごと借り入れ、部室として1部屋1か月3万円で貸し出し、カフェの売り上げ高を1か月75万円に設定し、月10万円以上の利益をだす事業計画。
大人が全力で遊ぶ姿を子どもに見せられたら…。福岡ほど洗練されてはいないけれど、楽しい場所はここにもあるよ、と教えてあげられること間違いなし。

駅前広場とJR日田駅2階部分

プレゼンテーションの様子

テーマ「ななつ星in日田+ひなた“特別な旅とちいさなチャレンジショップ”」
日田の玄関であるJR日田駅。JRを利用した旅人が降り立ったとき、そこに特別な旅があったら…。

市民が代々受け継いできた着物を頂く・借りるなどし着物レンタル、着付とメイクをセットにし、日田にある歴史的建物や技術を体験できるプチ旅行を7人のコンシェルジュがサポートするといいます。スローガンは「あなただけの・特別な旅」。1組7万7,700円で宿泊できる特別なプランの中に着付・メイクを含み、他に7つの特典をプランニングします。もちろん、その宿から「ななつ星」を見ることも可能。
それに先駆け、駅前広場を管理する会社を作り、公民連携パートナーシップを結び、小さなビジネスを興せる「巣箱(日田杉で作った箱型屋台)」でビジネスの芽を育てようと目論見ます。1か月3万円で巣箱をレンタル、1Dayチャレンジや常設の日田物産・ジビエ料理などを取り扱う店舗へ貸し出します。もしも“独立”したくなったら、市内の空き店舗へと誘導する予定なのだそう。
プチ旅計画で想定される川床設営や集団顔見世のときの店舗設営に関しては、ユニットメンバーの市役所職員がサポート。
事業は、先ず、株式会社HINATAがJR九州の駅2階部分を賃貸で借り上げます。駅前広場は、公共空間占用料として日田市役所へ支払います。事業そのものは、巣箱を活用した賃貸事業と特別な旅を商品化した宿泊事業に分け展開しますが、初期投資に3,000万円必要。ですが、5年で費用回収できる事業計画としています。
私も駅から程近いところに住んでいますが、なかなか駅前まで足を運ぶことがありません。さすがに市民の方が宿泊することはないでしょうが、「巣箱」で取り扱われる市内の物産には興味があります!
 

この記事に関するお問い合わせ先

日田市 総務企画部 企画課 企画調整係
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