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2026年人権コラム「心、豊かに」
「人権コラム 心、豊かに」は、「広報ひた」に掲載(毎月)しています。
やせている女性は美しい?【1月号掲載】
若年女性の「痩せ(やせ)」への過度なこだわりが深刻化しています。その背景には外見的な特徴だけで人の価値を決めつけてしまう「ルッキズム(外見至上主義)」が存在しています。
ルッキズムの広がりは、ソーシャルメディアが大きく影響しています。身近な同年代の人たちがSNSに投稿する写真や動画の「いいね」の数やフォロワー数といった見える形による評価が重視される風潮に感化され、自分への評価の数を増やすため「見栄えを良くし、褒められる姿を見せなければ」と感じる人が増えているようです。
そして、そのような風潮に乗っかるような「やせている=美しい」という基準や雑誌・テレビのダイエット特集などに触れる機会が多くなり、「やせなければならない」という強迫観念が若い女性に生じているようです。
厚生労働省は「健康日本21」の中で、低体重(BMIの数値が18.5未満)とされる女性が増加傾向にあるとしたうえで、(1)骨密度の低下による将来の骨折リスク(2)月経不順(3)低出生体重児のリスク上昇などを「やせ」が引き起こす健康問題として取り上げ、さらには20~30歳の女性の約20%が低体重というデータを示し、これは先進国の中でも突出した数値であると警告しています。
周囲からの「やせたほうがよい」という圧力や「太っている自分は価値がない」という自己否定は個人の尊厳を傷つけます。体型(スタイル)の多様性を認めず、「やせ」を美の特段の基準とすることは人権の軽視であり、フランスでは2017年より、やせすぎたモデルの起用を禁止する法律が施行されています。
前述のような健康問題の解決も含め、メディアやSNSが発信する極端なダイエット法の紹介など、「やせていることが美しい」という価値観の喧伝を見直し、多様な個性を受け入れる社会の形成が必要です。
後戻りできないからこそ「賢く」活用【2月号掲載】
「AI は不正確な情報を表示することがあるため、生成された回答を再確認するようにしてください。」
AIモードを使って検索すると上記のような文が表示されます。
文章の作成や要約、画像の生成など空前の「(生成)AI」ブーム。まるで魔法のような便利なツールですが、例えばあなたがSNSに投稿した写真(画像)が知らないうちにAIの学習に使われているかもしれません。AIがあなたとそっくりの画像を作り、あなたの名前で偽の文章を書き、それが悪意を持って拡散されたら…。そうなると「人格」や「尊厳」に係わる問題に発展してしまいます。
また、AIには序文のような「ハルシネーション(もっともらしいウソ)」という困った特徴があります。誤った情報を学習してしまった結果、「知らないと言えないAI」はウソが混じった答えを返してくることがあります。某大学の教授は、「生成AIを使って作成した学生のレポートには誤情報が多い」と嘆いています。
そうは言っても、AIには便利性だけでなく、さまざまな効果が期待されています。このため、(1)SNSのプライバシー設定を見直し、公開範囲を限定する(2)利用規約やプライバシーポリシーを読んでみる(3)回答を鵜呑みにせず、複数の情報源で確かめる などについて心掛けておくことが好ましい対応策といえます。
AIやスマートフォン、SNS、ナビゲーションシステムなどの新しい機軸が出回ると「古い対応」には後戻りできません。
かつて大ヒットした映画ではAIの脅威が示されましたが、映画のような大それた脅威を招くことはあり得ないとしても、AIはその使い方によっては、人格や尊厳を著しく傷つける危険性を秘めています。便利なツールについては、それぞれの特性を理解し賢く利用する姿勢を保ち、「必要性と信頼性」を確認し振り返る意識(習慣)を身に付けることが求められています。
後戻りできないからこそ「賢く」活用 [PDFファイル/82KB]
広がれ「イクボス宣言」→「イクドリ!宣言」【3月号掲載】
「九州地方知事会と経済界は男性の育児休業取得を推進しています!」
九州・山口の9県と経済界で組織する「九州地域戦略会議」は、男性の育児休業の取得がごく自然なこととなり、安心して子育てができることを目指すため、企業(事業所)を対象とした認証制度を創設しました。
制度の名称は「イクドリ!宣言」。文字通り、「育児休業を取ります(それを応援します)!宣言」の略称で、男性社員の2週間以上の育児休業の「取得率100%達成」を目標とする企業に認証マークを配布するものです。
大分県こども未来課によると、男性の育休取得を推進する企業の姿勢は、若い世代が就職先を選ぶひとつのポイントとなっているようです。このため、子育てを家庭に押し付け、働くことだけを重視する風潮はプラスにならないと判断する企業は確実に増えているようです。
社員や部下の育児・介護に理解を示しつつ、自分自身も仕事に励み、かつ私生活を楽しむ経営者や上司の存在の必要性を本コラムで紹介(タイトル:広がれ「イクボス宣言」)した 平成29年度の男性の育休取得率は5.14%。それが令和6年度には、過去最高の40.5%にまで上昇しています。この取得率の「伸び」をさらに加速させるには、前出の認証制度に応える企業や新たなイクボスの出現が大きなカギを握っています。
【企業が背中を押すことが、社会を変える力になる。男性の育休を後押しすることは、その家庭を支え、人材を守り、企業の未来を拓くこと。社会を変える企業でありたい】イクドリ!宣言を広めるリーフレットには、こう書かれています。
子育てを全面的に応援する職場は、働くモチベーションを向上させるとともに、企業に対する信頼感や安心感を与える要因にもなっています。時代の流れに沿った意識の上乗せは、家庭と企業と社会全体のバランスが保たれた未来を拓く基盤となるでしょう。




